寮生じゃないけど吉田寮祭ヒッチレースに参加してみた

吉田寮祭ヒッチレースというものが毎年開催されており,例年気になっていたので参加してみました.

はじめに

ヒッチレースとは,要するに無一文で何も持たずに日本のどこかに車で拉致されるので頑張って帰ってきましょうという催しです. 今年は寮生が半分,それ以外が半分の計25人が参加したようです. 吉田寮ヒッチレース - クソ大学生にも花束を のように沖縄から帰ってきた人もいるらしいですが,通常の人は車で行ける範囲の場所に飛ばされるので身構える必要はありません.

参加にあたって

この催しにおいて最大の懸念事項は無一文であるということです. ただのヒッチハイクの旅であれば自分のお金で最悪なんとかできますが,今回は無一文なので飢えはヒッチハイクのドライバーさんに恵んでもらうなどでしのぐ必要があります. 今までに普通のヒッチハイクすらしたことが無い身としては,これはかなり恐ろしいことです.

人に頼るを第一とするヒッチレースではありますが,予め個人の力でできること、例えば食べられる雑草の知識をつける・あいりん地区の日雇労働動画を見る・予め堕落しておき死んでも悔いはないという心構えをしておくなどによって安心感が得られます. 特に堕落からの死の覚悟はオススメです. 食べられる雑草は僕はタンポポくらいしか知りません.

国道や地理の知識を予め付けておく・ヒッチハイクの記事や動画を見ておく、などの必要はありませんでした. その場その場で知識を開拓していく方が楽しいですからね. ヒッチレースでは主催側としても勝手に死なれては困るので連絡用の携帯は持ち込み可能なのですが,せっかくなのでGoogle Map・Twitterは封印しました. Google Mapもなく,どこにいるかを現地でなんとか調べるのは冒険をしている感じでとても楽しいものです.

やってみた

@吉田寮

当日は夜中0時に吉田寮に集合します. 深夜に車に拉致されて,朝目覚めたら遠く離れた場所にいるというのにちょうどいい出発時間ですね. 「初参加+吉田寮生ではない」ということでどうせ近畿圏内くらいでしょヘラヘラ〜〜^^;と思っていたのですが, なんと飛ばされる場所は公平にクジで決めるようです.ビビる. 炎が焚き上げられ皆がダンスをしていたのでつられて踊ってたりしていると拉致時間になり、予定通り自己責任のもと拉致されます.

@賀祥ダム AM 07:40

f:id:CHY72:20180528164604p:plain 朝目が覚めるとよく分からないダムにいました. 拉致人曰く「一個目的地があってその道中の適当なダムで降ろしたかった」とのこと. 車内のもう一人の被拉致者とクジ引きをして僕はここで降りることになりました. どうせ降ろされるにしても適当な観光地でしょヘラヘラ〜〜^^;と思っていたので,笑顔を作って心を保つことで精一杯でした. 無情に去っていく拉致車を見送りながら「願わくばNくん(もうひとりの被拉致者)がもっと遠い場所に飛ばされんことを…」と呪いの言葉をつぶやいていました.(Nくんは竜王山の山頂に飛ばされたそうです.キャ--!!)

謎のダムではヒッチハイクはあまりにも向いていません. とりあえず人が多そうな場所へ向かいます. 案内板を見ていると北へ向かうと村があるらしいので北へ向かいます. f:id:CHY72:20180528160735j:plain こんな看板が見つかりますが,僕は地理がわかりません. 「京都方面」と書いた紙を掲げながら道行く車にアピールしつつ北へ向かって行きます. 京都って遠すぎてもダメなのかなあと思い,今居る県名を書きます. 県名と同じ市というのは得てして大きい場所なので,皆が向かう場所でしょうからバッチリでしょう. f:id:CHY72:20180528161113j:plain

30分程掲げながら歩いていると,車が止まってくれました. 気のいいおっちゃんで,競艇に向かっているとのことで,途中の道の駅までついでに乗せていってくれました. 「鳥取を取鳥と書き間違えるなんておもろいな〜〜ガッハッハ〜〜〜〜」と5分に一回くらい言われました. と,取鳥〜〜〜〜〜〜〜〜.

@安来 (島根) AM:9:09

f:id:CHY72:20180528161924j:plain 安来という道の駅に到着です. ここは島根であり,僕は鳥取と島根の県境のダムで降ろされたんだなーということが分かります. おっちゃんが,お弁当・飲み物・非常食用のパンを恵んでくださったのでありがたく受け取りました. うさぎ島に飛ばされた人はうさぎ用のキャベツ一枚で過ごしたらしいと聞いたので, 最初の人に恵んでもらえた僕はとても幸運です. 「これで3日は生きれるな…」と思うと心の余裕も産まれてきます. おっちゃんと将棋ウォーズのidを交換し,競艇の幸運を祈りながらお別れをしました. こうみえて僕は幸運なのでおっちゃんもきっと三連単くらい当たってると思います.

取鳥を鳥取に書き直し,隣に置いたまま地図を見ていると別のおっちゃんから声が. 建築デザイナーの自営業の方とのことで,おもしろそうだから声をかけたとのこと.やったー. ここから40km先の道の駅まで仕事で向かうので乗せていってもらえるとのことでお言葉に甘えます.

@琴浦(鳥取) AM10:39

車内でヒッチレースの話に花を咲かせていると,すぐに琴浦に到着してしまいました. 鳥取の交通事情とどこそこまで行けばいい感じなどのアドバイスをもらい,お別れをします.

琴浦といえば,琴浦さんとコラボしているのが有名ですね.

https://public-img-comic.pximg.net/c!/q=90,f=webp%3Ajpeg/images/story_thumbnail/N7xcHSdOUhAfkXdOtQvN/27730.jpg?20180522104056

琴浦さんは宗教の家の人がどんどん不幸になっていくのが好きです.

ところで,僕はコミュ障なのでヒッチハイクなのに声をかけることはできません. 道の駅のトイレの前に陣取って,道行く人に行き先を掲げながら会釈を繰り返し,目が合った人をずっと見つめるという戦法を取っていきます. 「逆方向なら乗せてあげたんだけどね〜」というおばちゃんと,帰りに夕方にもここに居てたらお願いしますと約束をしたりしながら30分程繰り返していくと,20歳くらいのお兄さんから声が. 鳥取駅へ向かうのでついでに乗せてくれるとのことでお言葉に甘えます. ゲーム会社の営業兼デザイナー職をしているとのことで車内でゲーム議論をして充実した時間を過ごしているとすぐに次の道の駅についてしまいました.

@岩美(鳥取) PM 00:51

f:id:CHY72:20180528165258j:plain 先程のお兄さんはコミケにR-18で毎年出しているとのことで次のコミケでお会いできれば〜とお別れをします. 岩美は鳥取と兵庫の県境みたいなところなので随分帰って来たもんだと振り返り,この調子でいけば余裕だわガハハという気分になってきます.

もう鳥取ですので,次の目的地は大きく「京都方面」として30分ほど掲げて歩きますが,なかなかうまく行きません. 怪しいなーと思って見ているとどうやら地元民の方が半分くらい占めていることが分かり,更に車のナンバープレートの統計を取ったところ「岡山・兵庫・神戸・姫路」がほとんどとなっていることに気づきます. これはとんだ大誤算です.

僕は地理を知らないので兵庫・神戸・姫路の場所の位置関係がわかりません. 神戸に寄って帰るか京都を粘るかを考えるため,地図を眺めるのですがここは鳥取の東端,中国地方の地図しかありません. 悩んだ末,ローソンの温泉ガイドを眺めたら兵庫の位置関係がわかり,神戸に寄って帰っても大きく東へ進めるからいいかと妥協をします.

「京都方面」「京都・神戸方面」と掲げながら会釈し続け,一時間ほど経ったあたりで旅行の帰りの神戸の夫婦の方に声をかけてもらうことができました.精神的にも体力的にも疲弊している様子が伝わっていたそうで,可哀想だったので声をかけてくれたとのこと. 今までのヒッチハイクでは道中ずっと会話をしていたのですが,疲弊度を見かねたのか「着くまで眠っていてもいいのよ」とのことで,お言葉に甘えて車内で睡眠を取らせていただきました. 「息子より若い」と言われまして,まるで我が子のように親切にしていただき,お菓子と豚まんと飲み物を恵んでもらいました. こちらの夫婦にはもう感謝の言葉しかありません.

@但馬(兵庫) PM 05:16

一度養父に寄らせてもらったのですが,こちらの方が京都方面を拾いやすいだろうと計らってもらい,但馬の道の駅まで連れて行っていただきました. そろそろ日も暮れてしまいそうなのでササッと道の駅で位置情報を確認し,車のナンバープレートの統計をとって掲げる文字を決めます.初めは「京都」と掲げていたのですが,ナンバープレートは「神戸・大阪・なにわ」が多く,「京都」そのままではなかなか帰れそうにないことがわかったので,神戸を見つつ「大阪方面」として掲げます.一時間ほどヒッチハイク模索をしていると声が.

乗せてくれた二人のお兄さんはバーベキュー検定の帰りとのことで,「京都」を臨機応変に「大阪」に変えたりしていたのを見て乗せてくれたとのこと. コンサル・コピーライターの方でしたので「後悔しない生き方をしたい!」という話をしたり, 僕が文章力を欲しいと話したところ文章の指導をしていただけたりなかなか充実した時間を過ごせました.

昔に id:suzusime と京都旅行をしたあとに,彼が はいふりカメラとゆく京都 - すずしめにっき との記事を書いており,なるほど同じ体験をしたのに僕ではこんな記事は書けないなあと思ったことがありまして,文才を得たく率直にこの記事(はいふりカメラ)を例にだして文章力を得る方法について教えを乞うたりしていました. はいふりカメラの話でも惑わずに指導してもらえたのですごい方です.

@桂川SA PM08:21

お兄さん方の好意で桂川までたどり着くことができました. 「あとは京都のナンバープレートの車に声をかけて市街地まで送ってもらいな〜」とのことでお別れをします. ここはもう徒歩圏内なので安心度が違います. 安心すぎて「あと3日は生きれるな…」と残しておいたご飯や飲み物を一気に消費します.満足. 22時まで頑張ってみたのですが,意外と滋賀ナンバーが多く,徒歩圏内だしここから歩いたことないな〜GoogleMap無しでも帰れるかな〜との邪念が発生し,せっかくなので歩いて帰ることにしました.

@京都駅 24:30

歩いて帰れました.ウイニングランですね. 京都へ帰ってきたことを知った id:Pasta-K さんがお酒をくれたので飲みながら鴨川を北上していきます.部員が迎えてくれたので,後はお酒を飲みながら深夜2時には吉田寮まで帰ることができました.

やったー

さいごに

なんやかんやで帰ってくることができました. 1グループだけ,名古屋でどうしてもヒッチハイクが捕まらず,救援を要請しているのを見かけました. 名古屋はヒッチハイクが難しいらしいですね. しかしながらどうやら現時点で全グループが無事帰ってこれたようです.よかった.

「ヒッチレースをしている」という身分はなかなか便利です. 交通費を浮かすためだけにヒッチハイクをするというのは僕には多分無理だと思います. 交通費は浮かすのに観光地でお金は払えるんだなあと思うとちょっと気後れしてしまいます…. その点ヒッチレースだと無一文で命がかかってるため,見知らぬ人と会話するのも話題を作るのもたいへん気楽なものです.

僕を車に乗せてくれた方々・更に食料まで恵んでくださった方々には重ねて感謝を申しあげ.最後に今回の経路を載せて結びとします.

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ふふーー.