KMC超人ロック

この記事は、 ボドゲ紹介 Advent Calendar 2016 - Adventar の22日目の記事です。 前回の記事は、『HIT Z ROAD』と『ヴィア ネビュラ』について - Boardgame Bonus Trackでした。 この記事では、超人ロックについて書かせてもらいます。

ボードゲーム超人ロック」とは

漫画家 聖悠紀氏 の手がける「超人ロック」という漫画があります。 この漫画は、最強の超能力者「ロック」が主人公として宇宙で起こる事件を 解決したりするSF漫画です。 このボードゲームは、この漫画の16巻くらいまでをベースにして作成されました。 このゲームは少なくとも1980年後半頃までには販売され、 1990年頃には既に絶版になっています。 しかし、京大マイコンクラブでは世代を超えて受け継がれ、 2016年の今でも盛んに遊ばれています。 前述のように30年くらいもの歴史があるゲームですから、 宗派に近いものができていて、僕の知っている限りでは現在 京大マイコンクラブ、京大RPG研、名古屋大学のサークル… などのサークルで受け継がれ、独自の洗練されたルールで遊ばれているようです。 このゲームにもともと登場するキャラクターは25人程度なのですが、 名大ロックでは150人ものキャラクターが登場するらしいです。

以降は原型に最も近いと言われる、僕が所属している京大マイコンクラブルールでの運用について書きます。 京大マイコンクラブのルールは、他のルールとくらべて原盤のルールを最大限尊重しているらしいです。

遊び方

このゲームでは、プレイヤーは3つのチーム「Good」「Evel」「Special」に分かれます。 また、主人公である「超人ロック」が Good として必ず一名が参加することになります。 Good陣営はEvel陣営の基地を破壊することが、Evel陣営は基地を守ってGoodを殲滅することが、 Special陣営はそれぞれ個人個人の勝利条件を満たすことが、このゲームの目的になります。

簡単にゲームの流れを説明すると、最初に「惑星編」と呼ばれるステージをプレイし、 役に立つアイテムを集め、次に「秘密基地編」と呼ばれるステージで 基地をめぐる攻防が行われる、という感じです。

このゲームは所謂正体隠匿系ゲームです。 序盤で正体がバレると大抵の場合不利になるので、 最初は自分の能力を使わなければならない時でも 過小に宣言することが多いです。 後半になるにつれ、徐々に情報が集まっていき、 パーティを組んだり、あるいは裏切りを起こしたりしながら 自分の勝利条件を目指します。

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⬆京大マイコンクラブの超人ロック。経年劣化を抑えるため、 カードを自作しスレーブに入れてプレイしている。

ゲームの雰囲気

このゲームでは個人個人がそれぞれ勝利を目指します。 面白いことに、場合によっては一人以外全員勝利することが起きたり、 逆に一人だけが勝利する所謂「S級勝利」が起きたりします。 各人が自分の勝利を目指し徒党を組んだり裏切りを起こしたりする様は、 とても楽しいものです。

ここでは一度簡易シュミレーションをしてゲームの雰囲気をみてみましょう。 まず、6人全員に自身の隠匿するキャラクターが配られます。 キャラクターは25人程いるのですが、その中からバランスがよくなるように配られます。

今回は。「ロック3」「ヤマキ2」「ナガト」「ライオット」「Sスト」「ジェシカ」 のようです。 ロック3、ヤマキ2はGoodなのでEvelの基地を破壊することが目的で、 ナガト、ライオットはEvelなのでそれを阻止することが目的で、 SストはSpecialであり、「ロックを自分で倒す」ことが目的で、 ジェシカもSpecialで「独身男性とパーティ組んで最後まで生存する」ことが目的です。 まずは正体を隠しながら惑星編でアイテムを集めます。

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⬆惑星編。アイテムカードをそれぞれ頑張って回収していいアイテムを集めるフェイズ。

それぞれ、以下のようなアイテムを入手したようです。

  • ロック3:手下、エネ吸3、クローン
  • ヤマキ2:手下、ニケ、Pスーツ4、ジャマー4、ラフ7
  • ナガト:ラフ56、クローン
  • ライオット:クローン、ワイルドカード、Pスーツ5
  • Sスト:船、Eスーツ、エネ吸4、ジャマー3
  • ジェシカ:アフィ、フィールド4、スラム街

例えば、クローンは強いアイテムで、なんと戦闘によって死んでしまっても生き返ります。 他にも、船があれば場外から船(宇宙船)からの攻撃を毎ターン追加で行えることができます。 エネ吸(エネルギー吸収ボール)があれば、運が良ければ相手を数ターン何もできなくできます。

この後の基地編ではそれぞれが互いの思惑を利用しながら 長い長い戦い*1が行われるでしょう。

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⬆秘密基地編。基地をめぐる攻防が行われる。

面白さ

一つのアイテムが戦局を大きく変えることも日常茶飯事という ゲームバランスなので、毎ゲーム全く違ったゲームを楽しめます。 登場しうるキャラクターも25人いるため、毎回違ったゲームを楽しめます。 プレイヤーはたいてい25人の情報は覚えていることが多いので、 判明した能力などからメタ的にキャラクターを推測することが可能で、 それがゲームの面白さを更に引き上げています。

個人的にこのゲームの一番の面白さをあげるとするなら、 なんといってもそのゲームバランスだと思います。 ゲームというものは、「運」、つまりランダム性がバランス良くあると とてもおもしろくなります。 将棋や囲碁などの運要素の全くないゲームもそれはそれで戦略ゲームとして面白いのですが、 ロックは要所要所で「運」が占めるバランスが非常に大きく歓喜したり絶望したりできるのが とてもおもしろいのです。 このゲーム、基本的には経験的に培われる最適な戦略をとるほど勝ちやすくなるゲームなのですが、 例えば死んでしまったキャラクターが、毎戦闘ごとに行われる「実は生きていた」チェックで 1/36の確率で体力Maxで生き返ったり、この攻撃で死ぬ…という攻撃で変身チェック(与えるダメージは、 ダイスを二個降った値によって変わり、そこでピンゾロなどが出ると行われるチェック)で キャラクターが転生(!)して別のキャラクターとしてゲームをプレイすることになったり、 低い確率で起こる奇跡的な出来事が戦局を大きく変えるという「運」に依存した側面ももち、 ゲームの開始から終盤までチャンスがずっと転がっているゲームでもあるのです。

さいごに

いかがでしたでしょうか。 少々駆け足で説明してしまったので雰囲気程度しかつかめなかったかもしれません。 京大マイコンクラブでは KMC超人ロック公式ホームページ というサイトにて 詳細なルールを公開しています。 もしも興味を持っていただけたならば、 京大マイコンクラブに入部(京大マイコンクラブでは入部制限はありません!どなたでも入部できます!) して、是非一緒に超人ロックを遊びましょう。

*1:一ゲームおよそ3時間位